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「もしかして子宮脱かも?」と感じたことはありませんか。

違和感を無視せずにセルフチェックすることで、早い段階で疾患に気づける可能性があります。初期の子宮脱は痛みや目立った症状がほとんどなく、気づかないまま進行してしまうケースが少なくありません。

本記事では、子宮脱かを判断するための20項目からなるセルフチェックリストと、結果に応じた今後の行動を紹介します。症状と原因とともに、治療・予防の選択肢についても詳しく解説しているので、ぜひお役立てください。

子宮脱はセルフチェックで早期発見が望める

子宮脱は、セルフチェックで早期発見が望める病気です。

骨盤臓器脱の1つである、子宮が下垂・脱出する病気を子宮脱と呼びます。自覚症状がない患者さんを含めると、女性の約3~4人に1人の割合で骨盤臓器脱が見られるといわれています。

子宮脱は自覚症状がないまま悪化しやすいため、違和感に気づけるかが重症化を防ぐうえで大切です。

子宮脱を患っている方が異変に気づきやすい状況として以下の2つが、挙げられます。

  • 排尿・排便後や外陰部を洗うとき
  • 腹部に力が入ったとき

「自分も発症しているかも」と不安な方は、本記事を読んで子宮脱についての理解を深め、セルフチェックを通じて今後とるべき行動を把握しましょう。

進行度別|子宮脱の症状

子宮脱の症状は、進行度によって大きく異なります。

初期は「なんとなく違和感がある」「疲れると重い感じがする」といった程度で、日常生活に影響しにくいといえます。しかし、進行すると、排尿・排便困難や出血など、生活の質に直結する症状が表れかねません。

「今の自分はどの段階なのか」を知るためにも、進行度ごとに整理して症状を確認しましょう。

特徴的な初期症状

子宮脱の特徴的な初期症状は、以下のとおりです。

  • 下腹部が降りてくるような感覚
  • 下腹部が引っ張られるような違和感
  • 陰部や膣の奥に生じる圧迫感
  • しゃがんだときに何かが下がってくる感覚

初期の子宮脱は、臓器が下垂しているものの、膣から完全に出てしまう前の状態です。立ち仕事を長時間していたり、重い物を持つ機会が多かったりする方は、午後になるほど症状を感じやすくなります。

早期に子宮脱に気づけるよう、日頃から当てはまる症状がないかチェックしておくと良いでしょう。

特に注意したい子宮脱の初期症状を確認しておく

重度特有の症状

重度の子宮脱の方に表れる特有の病状は、以下のとおりです。

  • 膣から何かが出ている
  • 太ももの間に何かが挟まっており歩きにくい
  • 生理時以外でも褐色のおりものや出血がある
  • デリケートゾーンにかゆみ・ただれがある
  • おりものが増える
  • 残尿感や残便感がある
  • 便秘が悪化する
  • 腰に痛みがある
  • 性交時に違和感・痛みをともなう

子宮脱が重度の状態まで悪化すると、生活の質が著しく落ちてしまいます。

脱出した臓器により膀胱や尿道、直腸も下垂しやすくなるため、排尿障害や排便障害のリスクが高まる傾向です。脱出臓器を押し込みながらでないと、排尿・排便ができない患者さんもいます。

症状が気になって外出が億劫になれば、身体能力が低下して歩行が困難になりかねません。誰にも相談できず、うつ状態となるケースも見られます。

子宮脱の自然治癒は望めないので、早期に予防や治療を行いまょう。

子宮脱の原因

子宮脱の原因子宮支える骨盤底筋が弱くなることです。

骨盤底筋には、ハンモックのように子宮・膀胱・直腸などを下から支える役割がありますが、出産や加齢、生活習慣の影響で徐々にゆるんでいきます。特に影響が大きい要因は、次のとおりです。

  • 妊娠・出産
  • 加齢
  • 閉経による女性ホルモンの低下
  • 排便時にいきむ習慣(便秘)
  • 立ち仕事や重い物を持つ作業
  • 慢性的な咳
  • 肥満

子宮脱の大きな原因としては出産が挙げられ、複数回経験した方のほうがハイリスクとなります。

複数の要因が重なることで骨盤底筋に負担がかかりつづけ、骨盤内の臓器を支える力が弱まっていきます。

子宮脱の発症リスクが高い出産について詳しく知る

子宮脱セルフチェックリスト

以下は、自身が子宮脱なのかを判断するための20項目からなるセルフチェックリストです。

項目チェック
長時間立っていると陰部に不快感や重い感覚が生じる
朝よりも夕方のほうが下腹部の違和感が強い
座るとボールに乗っているような感覚がある
入浴したときに陰部に丸い物が触れる感覚がある
陰部が下着と擦れて痛みを感じる
性交時に違和感・痛みがある
1日に平均10回以上トイレに行く
寝てる間に3回以上トイレに起きる
排尿・排便に時間がかかったり、残尿感・残便感があったりする
頻繁に膀胱炎になる
くしゃみや咳などで尿漏れをしたことがある
慢性的に咳をしている
肥満(BMIの値が25以上)である
重い物を持つ仕事に就いていたことがある
妊娠・出産したことがある
経膣分娩を経験した
鉗子分娩・吸引分娩・難産の経験がある
3,500g以上の子や多児を出産した経験がある
閉経を迎えた
家族に骨盤臓器脱を患った人がいる

いくつチェックがついたかをもとに、今度とるべき行動を考えましょう。

チェックが5個以上なら受診を検討しよう

セルフチェックで5個以上該当したなら、子宮脱を患っている疑いがあるため、女性泌尿器科やウロギネ外来の受診がおすすめです。

ウロギネとは、ウロギネコロジー(Urogynecology)の略です。ウロはUrology(泌尿器科)、ギネはGynecology(婦人科)を表します。

泌尿器科と婦人科両方の側面を持ち、骨盤臓器脱や排尿・排便トラブル、膣の違和感など、女性のデリケートゾーンの悩み全般に対応している診療科です。

専門医が問診や検査を通じて、症状を把握します。「手術は避けたい」「体への負担を少なくしたい」といった、患者さんが望む治療を気軽に相談可能です。

「どんな治療法があるのか不安」という方は、受診前に子宮脱の外科的治療と保存的治療について理解を深めましょう。

子宮脱の治療方法①|外科的治療

子宮脱を手術で治療する方法として、主に以下の術式が挙げられます。

  • 膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術
  • 経膣メッシュ手術(TVM手術)
  • 腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)
  • ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC)
  • 膣閉鎖術

手術は、子宮脱を根本的に治す方法です。年齢や体への負担、術後の生活スタイルなどを考慮し、患者さんに合った術式が選ばれます。

膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術

膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術は、子宮脱に対して長く行われてきた実績のある手術方法です。子宮を摘出し、ゆるんだ前後の膣壁を縫い縮めて補強することで、症状の改善を図ります。

膣から行う手術のため、大きな傷が残らず、体への負担が比較的少ない点が特徴です。高齢者や体力に不安がある方への実施も検討されるケースがあります。

一方で、再発可能性は約30%で、ほか術式よりも高い点に注意が必要です妊娠や出産を希望していないことが前提となるため、年齢・今後の希望を踏まえて選択しましょう。

経膣メッシュ手術(TVM手術)

経膣メッシュ手術(TVM手術)は、医療用のメッシュを用いた、子宮脱の手術方法です。膣を切開し、膣壁を補強するような形でメッシュを挿入します。子宮脱が再発しにくく、お腹を切らないため、身体的負担を抑えられることがメリットです。

術後は、メッシュが体の一部としてなじむまで待つ必要があります。2~3か月は重い物を持たず、激しい運動をしないといった点が注意事項です。

デメリットとして、メッシュの露出やただれといった合併症のリスクや、性交痛が生じやすくなることが挙げられます。

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)も、子宮脱の外科的治療の1つです。腹部に5mm~1cmほどの穴を数か所あけ、腹腔鏡という手術用カメラを使い、メッシュで膣を引き上げて背骨の下に固定します。

お腹側から臓器の位置を正確に調整できるため、再発率が低く、術後も膣の形状が保たれやすいことが特徴です。

LSCは、以下のような方に適しています。

  • 術後も性生活の継続を希望する
  • 退院後はすぐ社会に戻りたい
  • 膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術やTVM手術のあとに再発した

ただし、低頭位の姿勢で行われ、通常3~6時間を要するうえ、メッシュの露出や疼痛などの合併症リスクがあることが注意点です。体力が落ちている高齢者への実施は、慎重に判断されます。

ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC)

ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC)は、子宮脱・膀胱脱・直腸脱などの骨盤臓器脱の治療に用いられる手術です。医師が手術支援ロボット(ダ・ヴィンチまたはダ・ヴィンチXi)を操作し、拡大された立体映像を見ながら、LSCを行います。

RSCには、主に以下のメリットがあります。

  • 手ブレを抑えられる
  • 人の手首では実現できない広い関節可動域がある
  • 拡大した視野で鮮明な3D画像を見られる
  • 術後の回復が早い
  • 疼痛が軽減される

ダ・ヴィンチは高価なので、もともとは大病院を中心に導入されており、神経温存を目的としたがん手術に用いられていました。近年は、操作に慣れている術者が骨盤臓器脱の手術に利用しています。

RSCは2020年から保険適用になり、LSCよりも治療費が高額になりやすいというデメリットが解消されています。

膣閉鎖術

膣閉鎖術は、体への負担が比較的少ない、子宮脱治療のための手術です。膣の入口を縫い合わせて臓器の脱出を防ぎ、症状改善を目指します。

手術時間は短く、出血量が少ないため、体力に不安がある方にも選択されやすい術式です。術後の回復が早い点も、メリットとして挙げられます。

ただし、縫合部分がゆるんだり、別の部位から臓器が下垂したりする可能性がわずかにあります。術後は性交ができなくなり、子宮がん検診が受けられなくなるという点にも注意が必要です。

子宮脱の治療方法②|保存的治療

子宮脱の代表的な保存的治療は、以下に挙げた3つです。

  • 骨盤底筋体操
  • ペッサリーの着用
  • フェミクッションの活用

子宮脱の進行度しだいでは、手術せずに対処できる場合もあります。

効果を実感できるまでの期間や体への負担は、保存的治療の方法により異なります。自分の症状や生活スタイルに合った治療方法を知ることが大切です。

骨盤底筋体操

子宮脱の保存的治療として、骨盤底筋体操が挙げられます。

骨盤底筋体操は、弱くなった骨盤底の筋肉を鍛え、子宮や膀胱などを支える力を高める方法です。軽度~中等度の子宮脱の症状改善を目的とします。

正しく行わないと効果が出にくく、痛みを引き起こしかねないため、理学療法士の指導を受けてからの実施がおすすめです。

骨盤底筋体操の効果を実感するには、少なくとも数週間~数か月は継続する必要があり、今すぐ症状を改善したい方には向きません。骨盤底筋を鍛えながら、ほかの保存的治療の併用も検討しましょう。

ペッサリーの着用

子宮脱の保存的治療の1つに、ペッサリーを着用する方法があります。ペッサリーとは、膣の中に入れて子宮の下垂を物理的に防ぐ医療用器具です。

装着後すぐに症状の軽減が期待できることが特徴で、手術までのつなぎとして使用されるケースも見られます。

ペッサリーの管理のためには、2~3か月に1回の定期的な通院が必要です。自己脱着ができれば通院回数を減らせますが、適切に管理できなければ、膣炎や感染症、出血といったリスクがあります。

ペッサリーのサイズが合わないことによっても合併症リスクが高まるので、違和感があれば医師に相談しましょう。

フェミクッションの活用

子宮脱の保存的治療には、フェミクッションの活用という選択肢も存在します。

フェミクッションは、下垂・脱出した子宮を体の外側からやさしく支える医療機器です。膣の中に器具を入れる必要がなく、膣口をクッションで押さえ、ホルダーやサポーターで支える構造になっています。

フェミクッションのメリットは、以下のとおりです。

  • 体への負担・感染症のリスクが少ない
  • 着用後すぐの症状軽減が望める
  • 重度の子宮脱でも効果が期待できる
  • 下着のようなデザインで自分で着脱しやすい
  • 器具の管理のために通院する必要がない
  • 洗って繰り返し使用できる
  • 医師の処方箋なしで購入できる

「手術が受けられない」「ペッサリーが合わない」という方でも取り入れやすいでしょう。

チェックが5個未満なら子宮脱予防に努めよう

セルフチェックでの該当数が5個未満の方は、現時点で子宮脱の可能性は低いと考えられるものの、予防に努めることが重要です。骨盤底筋のトレーニングやサポートグッズの活用を早めに始めれば、子宮脱の発症リスクを低下させられます。

子宮脱を含む骨盤臓器脱予防のために開発された医療機器が、フェミクッション ハピネスです。下着の上からはくだけで、普段の生活のなかで発生する腹圧から骨盤底筋を守れます。

骨盤底筋体操と併用すれば加圧サポートがプラスされ、筋力維持・アップ効果を高められるでしょう。

子宮脱のセルフチェック結果をもとに行動を

子宮脱のセルフチェックを実施したら、結果にもとづいて受診・治療・予防といった行動を起こすことが大切です。

早めに疾患に気づき、対策することが、症状の進行防止・軽減につながります。さまざまな治療法のなかでもフェミクッションを活用すれば、体への負担を抑えながら不快な症状の緩和が期待できます。

加齢や日常生活での腹圧によって、骨盤底筋は徐々に弱くなるものです。セルフチェックで該当した項目が少ない方は、骨盤底筋体操やフェミクッション ハピネスを取り入れ、子宮脱の予防を目指しましょう。

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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